意識(顕在意識)と無意識(潜在意識)
人の脳の働きのうち、9割以上は無意識下であると言われていて、私たちの行動や感情の多くは、自分でも気づかない記憶や固定観念などの思い込みに影響されています。(意識1割 無意識9割)
つまり、意識してコントロールできる部分はごく一部で、無意識の影響力がとても大きいです。
イップスは自分で意識的に起こしているわけではありません。
意識して防ごうとしても症状が出てしまうのは、イップスが無意識の反応だからです。
そして心の病の場合も意識的に「ツラくなりたい」と思ってツラくなっている人は少ないと思います。
無意識は、記憶や感情と深く結びついています。
過去に大事な場面で失敗し、恐怖や不安を感じた経験は、無意識に「トラウマ」として刻まれ、似た状況で自動的に反応を引き起こすことがあります。
とはいえ、無意識の働きを変えるには「意識すること」から始まります。最初は意識的に取り組み、反復していくことによって無意識に定着していきます。
イップスや心の病を乗り越えていくために、「こうなりたい」「こうしたい」といった明確な目標を持つことは大切です。
はっきりした目的意識を持って繰り返すことで、無意識への働きかけがより良い結果へとつながりやすいです。
イップスは治すものではなく乗り越える
心療内科などで「ジストニア」と診断された場合、一般的には薬による治療が中心となります。
また、内科的な治療で十分な効果が得られない場合には、脳に電極を直接挿入して行う外科的な治療法も選択肢となります。
これらの治療は、原因にかかわらず基本的には薬物療法や外科的処置がメインとなり「症状を抑える・治す」といったアプローチです。
しかし「イップス」は心や脳の仕組み、そして身体のバランスが崩れたときに現れる症状であり、薬や外科的な処置になってしまうと根本的なところへはアプローチができず、心と身体からの「サイン」を見逃してしまうことになります。
そして薬や外科的処置に頼りすぎて心や身体からのサインを無視してしまうとその時は良くても結果的に再発したり、もっと苦しくなってしまう可能性もあります。
イップスを克服し乗り越えるために何よりも大切なのは、今の自分を否定せず、「ありのままの自分」を受け容れること。
「なぜバランスが崩れてしまったのか」「どんな葛藤を抱えているのか」「本当はどうしたいのか」
またイップスになってしまった自分自身も、そのまま認め受け容れることがイップス克服への大きな一歩となります。
自分の現状を受け容れながら克服していくことで、「物の見方」や「考え方」「受け取り方」が変わり、結果として「生き方」が変わっていく人もいます。
このようなことから、イップスは治すものではなく自分と向き合い乗り越えていくものだと考えています。
当研究所でのイップスケア
当研究所では、意識と無意識の両面、とくに「無意識」の領域に重点を置いたケアを行っています。
- 心理分析テスト:現在の心の状態を客観的に把握し、今の自分を受け容れるための第一歩となります。
- カウンセリング:テストの結果をもとに、過去や現在、そしてこれからどうしていきたいか?など意識の部分(物の見方・考え方・受け取り方)にアプローチします。
- 無意識のメンタルトレーニング:催眠療法を用いて、無意識の深い部分にアプローチしケアをしていきます。
※野球選手の場合に限り投球、送球のトレーニングも行なっていきます。
頭がいっぱいいっぱいになってしまうと、「本当はどうしたいのか?」という自分の気持ちさえ解らなくなることがあります。
当研究所では、その「本当の気持ち」に気づくお手伝いをすることも大切にしています。